御堂筋NEWS

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地区計画改定から10年「御堂筋本町地区の建物たち」シンポジウムを開催いたしました!

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11月18日(金)淀屋橋ステーションワン10階大会議室にて、当会主催で、地区計画改定から10年「御堂筋本町地区の建物たち」シンポジウムを開催しました。

大阪のメインストリートである御堂筋本町地区では、かつて「百尺(約31m)制限」と呼ばれる高さルールが長く続いていましたが、1995年の高さ50mへの緩和、2014年の地区計画改定を経て、街の姿は大きく変わりつつあります。

今回のシンポジウムは、その改定から10年の節目を迎えた今、これまでの変化を振り返りながら、これからの街のルールとエリアマネジメントの役割を考えることを目的に、御堂筋まちづくりネットワークの代表理事であり、大阪ガス株式会社常務取締役の須藤治氏・事務局である株式会社竹中工務店原田裕氏からその趣旨が説明されました。
当日は、会場とオンラインを合わせて100名近くの方が参加し、御堂筋への関心の高さがうかがえました。

第1部では、基調講演として、大阪市 計画調整局長の山田裕文氏と、建築家・近畿大学建築学部教授の高岡伸一氏にご登壇いただきました。

基調講演① 「御堂筋活性化の歩み~2014年地区計画改定等の狙い~」 

基調講演①として、山田氏が、御堂筋の高さ規制の歴史と、2014年の地区計画改定の狙いについて解説いただきました。

御堂筋は長らく、行政指導による高さ制限により、統一的な景観を保ってきましたが、開発ポテンシャルを十分に活かせず、建替えが進みにくい状況が課題となっていました。
2014年の改定では、4mセットバックや50m軒線といった“守るべき景観”を維持しつつ、形態規制を緩和して高層化を促すとともに、低層部への賑わい施設導入等も含めた、公共貢献に応じて容積率を最大1300%まで緩和する仕組みを導入しました。本町北地区では上質な賑わい機能を複合したビジネス街、本町南地区では、商業や宿泊施設等、多様な用途を想定するなど、エリアごとの役割も再整理されました。これらの改定とエリアマネジメント団体との連携により、御堂筋にふさわしい街並みを維持しながら、現在も多くの建替えが進んでいます。
山田氏は講演の締めくくりに、個々の建物ではなく「御堂筋全体がこのルールでどう立ち上がり、賑わいを生むか」を評価していく重要性を指摘し、行政と民間が連携して魅力ある街づくりを進める必要性を強調しました。

基調講演② 「御堂筋の沿道建築の歴史と変遷」 

次に基調講演②として、高岡氏が御堂筋沿道建築の歴史を、都市の変遷とあわせて解説いただきました。

1937年の開通当初は建物もまばらでしたが、戦後から高度経済成長期にかけて31mの高さ制限(百尺規制)のもとでビルが一斉に建ち並び、1960年代には、結果として“揃った31m軒線”という御堂筋らしい景観が形成されました。
大阪市は行政指導で長らくその景観を維持する政策を継続していましたが、1995年規制緩和や都市再生特区により、軒線高さの50m基準や超高層建築が可能になり、現在は複数の高さが重なる多層的な街並みへと発展しています。
最後に高岡氏は、大阪ガスビルや日本生命本館など象徴的な建築が示すように、統一された高さの中にも多様な建築デザインが息づいてきたことを、御堂筋の魅力としてまとめました。

第2部では、中央日本土地建物株式会社 都市開発事業第一部次長の能海達宏氏、続いて住友商事株式会社 ビル事業ユニット大阪チームの岡田風太氏、最後に御堂筋まちづくりネットワーク ガイドライン推進部会長で大阪ガス株式会社エナジーソリューション事業部の三好正人氏が、それぞれの取り組みについて紹介しました。

話題提供① 「淀屋橋ステーションワンの開発について」 

第2部の話題提供①として、能海氏から本シンポジウム会場でもある「淀屋橋ステーションワン」の開発経緯が紹介されました。

旧日土地淀屋橋ビルと京阪御堂筋ビルの建替え時期が重なったことを機に、敷地の奥行きが浅いという課題を、土地区画整理事業などを活用した“一体開発”で解消した点が大きな特徴です。
地下では接続広場を整備することで駅まわりの歩行者動線を改善しました。また、地上部では建物をセットバックして広場空間を確保することで、キッチンカーやマルシェなど多様な活動が展開できる“賑わいの場”へとつなげていく取り組みが進められていることが紹介されました。
建物は高さ150mの超高層で、最上階には展望テラスも整備。オフィスだけでなく、エリアの交流・発信拠点としての機能も持つ新たなランドマークとして紹介されました。

話題提供② 「淀屋橋ゲートタワーの開発について」 

話題提供②では、岡田氏から、竣工を控える「淀屋橋ゲートタワー」の概要が紹介されました。

淀屋橋ゲートタワーは、淀屋橋ステーションワンに隣接するオフィスビルで、地下で御堂筋線・京阪電車の淀屋橋駅と直結します。1・2階と地下には約30店舗が入り、働く人だけでなく地域の利用者も気軽に立ち寄れる新たな賑わいの場となることが期待されています。
また、11階部分には誰でも利用できる屋上庭園が整備され、シェアオフィスやカフェラウンジなど多様な働き方を支える施設も導入される計画が説明されました。
さらに、環境負荷の低減や災害時の事業継続性にも配慮しており、隣接ビルへの電力融通や72時間の電力確保など、ESG・BCPの観点からも先進的な取り組みが進められている点が紹介されました。

話題提供③ 「御堂筋まちづくりネットワーク ガイドライン推進部会の活動について」

そして、話題提供③では、三好氏からは、「御堂筋まちづくりネットワーク・ガイドライン推進部会」によるエリアマネジメントの取り組みが紹介されました。

2014年の地区計画改定から始まり、景観の質向上と賑わい創出、防災体制の整備を軸に活動を続けています。
まず、景観づくりでは、建物のセットバック空間を上質に活用するため、独自のルールに基づくデザイン審査を行いながら、オープンカフェやマルシェ、キッチンカーなどの導入を進めています。これにより、通りに滞在空間が生まれ、御堂筋らしい明るく開放的な歩行環境が徐々に醸成されてきた様子が紹介されました。また、ガラス面広告の自主ルール策定など、細やかな景観マネジメントにも取り組み、街の統一感と多様性のバランスを保つ工夫が重ねられています。
さらに、防災面では、大阪市と連携した都市再生安全確保計画を策定し、災害時の帰宅困難者を受け入れる体制整備や、ビルの利用可能状況をスマートフォンで共有する仕組みなどが進められています。
こうした継続的な活動が高く評価され、2023年度都市計画学会の最高賞である石川賞を受賞したことが紹介されました。

パネルディスカッション

講演のあとには、御堂筋まちづくりネットワーク事務局・原田氏の進行でパネルディスカッションが行われ、
⑴「地区計画改定以降のこのエリアの変化」 と
⑵「沿道建物をカタチづくるルールと街のマネジメントこれまでの御堂筋での成果と、今後の期待」 の2つをテーマに議論が進められました。

まず⑴「地区計画改定以降のこのエリアの変化」では、この10年で“街の骨格そのもの”がどう変わったかが議論されました。地上と地下の動線が滑らかにつながり、沿道の連続性が高まったことや、 50mラインを活かした建物配置が景観に良い影響を与えている点 が挙げられました。淀屋橋ステーションワンやゲートタワーなど、大規模開発がある中でも、スカイラインの統一感が保たれていること、ブランド店の進出や歩行者数の増加など、御堂筋らしい活気が戻ってきていることが共有されました。その一方で、海外ブランドとの調整や認証手続きの複雑さなど、実務面での課題にも触れられています。

続く⑵「沿道建物をカタチづくるルールと街のマネジメント これまでの御堂筋での成果と、今後の期待」では、まちづくりのルールには柔軟性が必要であること、「どんな街にしたいか」というビジョンを共有する重要性が議論されました。緑や涼みといった環境要素の取り込み、デザインの多様性の確保などが今後のテーマとして挙げられ、官民が連携しながら御堂筋を進化させていく方向性で議論は締め括られました。

御堂筋のまちづくりは、これからも着実に進んでいきます。今回のシンポジウムをきっかけに、官民が力を合わせながら、誰にとっても心地よく歩ける魅力的なストリートを育てていきたいと思います。